木材のやさしくて、あたたかみのある「黄赤色」。
見ているだけでなんとなくホッとしたり、落ち着いた気持ちになったりしますよね。
この色には、
木が育ってきた環境や、「光の不思議な性質」の両方が関係しているんです。
今回は、
木材がどうしてこの色をしているのかについてみていきましょう。
木が生きてきた証が、色になる 木材が「あたたかみのある黄赤色」をしているのは、木が生きてきた証がぎゅっと詰まっているからなんです。
森の中でぐんぐん育った木たちは、太陽の光を浴びて、土から水や栄養を吸い上げながら、年輪をひとつずつ重ねていきます。
その成長のなかで、
木の中に「リグニン」や「タンニン」といった天然の色素が生まれてくるんです。
スギやヒノキにはこれらの成分が多く含まれていて、ほんのり赤みがかったあたたかな色に見えます。
しかもその色合いは、
木がどんな場所で育ったか、何年生きてきたか、どんな気候だったか―― 木の育った環境によって少しずつ違ってきます。
だから、同じ種類の木でも、ひとつとしてまったく同じ色はないんですね。
光の性質と木の反応 もうひとつ、木の色を決めている大きなポイントが「光の性質」です。
光は実は、いろんな色の波でできています。その中には「赤い光」も「青い光」も含まれています。
木材はこの光に、こんなふうに反応します

そのため、赤や黄色系の光だけが際立って見えるようになります。
このように、光と木の特性が重なって、人が見て「ぬくもりがある」と感じる色が生まれます。
木は紫外線も吸収してくれる また木材は「紫外線」も吸収してくれます。
紫外線は肌や目に悪い影響を与えることもありますが、木材はそれをやさしく吸収し、自然のフィルターのように空間を守ってくれます。
木材は、見た目だけでなく、暮らしにやさしく寄り添ってくれる存在なんですね。
そしてもうひとつ、おもしろいこと。
この黄赤色は、
光に当たる時間が長くなると、少しずつ深みを増していきます。
まるで日焼けのように、ゆっくりと時間をかけて色が変わるんです。

木材の黄赤色は、木が何十年、何百年と生きてきた証であり、光と自然がつくり出したぬくもりの色です。
そんな木に囲まれて暮らすことは、自然のやさしさやあたたかさにふれる、豊かな時間になるのかもしれませんね。