「木の家に住んでみたらわかる。落ち着いて住めるから。」
本当にこの家を見ていたら言葉だけで十分なのが分かりました。
町屋も日本の伝統が伝わってくる家でしたが、Yさんご夫婦がさらに手を加えたことによって、
家全体がアートないつでも魅せる家になり、とても居心地が良かったです。
聞き手:堀田 回答:Y様
第二回目のお宅訪問は、
「うなぎ寝床敷地に建つ町屋──土壁と格子の町屋」のO邸様です!
町家と歩んで4年─日本伝統の家へ御宅訪問─
正直な家の会で家を建てられてから4年目のご夫婦に、建てる時の想い、
住んでみてからの想い、今後家を建てる方へのメッセージをインタビューしてきました!
近隣の火災により既存建築が焼失してしまったため、急遽依頼を受け始まりました。
敷地は旧街道に程近く、うなぎの寝床敷地。既存住宅は昼間でも電気をつけなければ生活できないほど暗い構造でした。
コンセプトは、外部と内部をつなぐ土間、格子からなる空間の連続性、外から中の気配をうかがえたり、
中から外部の開放感を得ることです。
日本伝統の家で暮らすまで
Yさんご夫婦は、平成16年4月に家を建てることを相談し始めました。
奥様が、石川木材の会長と従姉で「正直な家の会」なら安心と言うことで頼んでいただけました。
Yさんの希望は
「自分たちの年齢に合った和風の落ち着いた家」
「ドアが嫌いなので家中引戸がいい」
「敷地が狭いのでスッキリ見せたい」 などなど。
直接会っての打ち合わせは3回くらいで、5月から準備をし出し、8月には建前。平成17年1月完成引渡し。
建築4年、町屋を訪れて......
Yさんのお宅にお邪魔させていただいたら、入ってすぐ木のよい香りがしました。
また玄関から上がる時の木の柔らかさ。こんなにも違うものなのかとびっくりしました。
こちらの家は、横に息子さんの夫婦の家があり、通路でつながっています。
お孫さんが遊びに来て転んでしまっても、この木なら衝撃を和らげ安心だなあと思いました。
部屋の中には生活用品がほとんど見えず、スッキリとしてとても広く感じました。
Yさんが収納場所を教えてくれたのですが、こんなところにも!? と驚かされたり、沢山の収納スペースがありました。
芸術品の中に居る感覚
右の写真は、Yさんが造った桐箪笥です。火事の時、燃えなかったそうです。
お父さんが桐箪笥職人で木の使い方を教えてくれました。
「木には根になっている所があるからそれを下にするもんなんだよ。縁起を担ぐ人はそれを反対にすると怒るんだ。
それと節が多いものや木のつなぎは玄関にもってこないで見えないところに使う!玄関には一番綺麗な木を使うんだ!」と、熱く教えてくれました。
そんなYさんだから家のこだわりにも厳しく、法律で決められているところ以外は、全部自然素材。
玄関・駐車場の地面はかたまる土で夏は涼しく、お風呂や家の中は窓が大きくなっているので
「いつでも気持ちよい風が入ってきますよ」と仰っておられました。
家づくりは静岡では珍しい竹小舞に土佐漆喰。
組み立てには鉄を使わず、大工さんに頼んで込み栓で止めてあります。
家の中を見回すと小さな木が顔を出しています。
「職人の仕事がありありと見える家に住んでいると、
いつも芸術品の中にいる感じなんです」と、にこやかに嬉しそうな表情でした。
お気に入りとお手入れ
■Yさんお気に入りの階段
「お気に入りはね~階段! すごく歩きやすいんだよ!」とYさんが案内してくれました。
木が柔らかいので上り下りが全然苦にならないのが伝わってきました。むしろ階段を一歩一歩、歩くのが贅沢な気がしました。
Yさんの奥さん「フローリングもお気に入りなのよ。冬でも冷たくないから素足で歩けるの。
でも御手入れは木材のことを考えて水拭きはダメ!灰汁(あく)が出てきて気が黒くなってしまうから、私はいつも糠袋で擦るだけ。
この床は糠の油で、木の素材だけの光沢なんですよ」糠袋は、生糠を手ぬぐいに入れて縫うだけと
いつも使っている糠袋を見せて頂きました。
■愛用の糠袋
また手ぬぐいのセンスがよくてとても可愛かったです!
あと、御手入れの仕方で「何か床に落としたときはすぐに熱湯をかければ、汚れが浮き出てくるし、
小さな傷なら消えてしまうんですよ。木が生きている証拠なんですね」
生き物の鼓動を感じながら一緒に生活してるなんて素敵ですよね。
失敗したこと
「失敗は2階にトイレを作らなかったことかな。2人だけで暮らしているから要らないと思ったんだけど、
住んでみたらやっぱり欲しかったなあ。
それとトイレは手動のほうが良かった。使っていないのに流れてしまったり経済的じゃないよね。使ってみて分かったけどね」
今から家を建てる人へメッセージ
「木の家に住んでみたらわかる。落ち着いて住めるから」と、短いお言葉を頂きました。
本当にこの家を見ていたら言葉だけで十分なのが分かりました。
町屋も日本の伝統が伝わってくる家でしたが、Yさんご夫婦がさらに手を加えたことによって、
家全体がアートないつでも魅せる家になり、とても居心地が良かったです。
Yさん、奥さんありがとうございました!