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家づくりのこと 2025.11.14

木の家は“耳にもやさしい”

木の香りや手ざわりには敏感でも、「木の音の違い」ってあまり意識しないですよね。
でも、木の種類によって音の響き方はけっこう変わります。
楽器づくりではそれがすごく大事で、ギターやバイオリンも、使う木によって音色がまるで違ってきます。
もしアルミで作ったら、音が反射しすぎて、音階によってムラが出てしまうことも。
木は音をほどよく吸収して、やさしい響きを残してくれるんです。
だから昔から、楽器やコンサートホール、日本の木の家にも木材が使われてきたんですね。
最近では、木の種類によって音の響き方が違うことが、科学的にもわかってきています。

 




ヒノキ:澄んだ音とやわらかい響き

日本の代表的な木材・ヒノキ(檜)は、やわらかく聞こえす。
韓国の林産学会誌に発表された実験(※1)によると、ヒノキ材の吸音係数は 0.41〜0.59。
これは、音をある程度吸いながらも心地よく残す数値で、コンサートホールで使われる木質パネルに近い性能です。

つまり、ヒノキの空間では音が“丸く”響きます。
家族の話し声や音楽も、耳に刺さらず、自然と空間になじむ。
ヒノキ風呂での「静かな安らぎ」を感じるのも、香りだけでなく音のやさしさのおかげかもしれません。


スギ:やさしく包み込むような音

スギ(杉)は、日本の住宅で最も親しまれている木材のひとつ。
九州大学の研究(※2)によると、スギの“辺材”は“心材”よりも空気を通しやすく、音をよく吸収する特性があることがわかっています。
特に中音〜高音域での吸音効果が高く、話し声やテレビの音をまろやかにしてくれます。

スギの家にいると、なんとなく落ち着く——。
それは香りや見た目だけでなく、“音が静かに整っている”のもあるかもしれませんね。




オーク:力強く、響きのある音

一方で、オーク(ナラ)は密度が高く、音の反射がしっかりしています。
海外の研究(※3)では、オークを使った木質パネルが「音の遮断(Transmission Loss)」性能に優れていると報告されています。
つまり、外からの音を遮りつつ、室内の音をクリアに反射させる特性を持っています。

フローリングや家具にオークを使うと、
“音がしっかり届く”印象になり、ピアノやスピーカーの音も明瞭に感じられます。

木材の音響特性は、「密度」「多孔性」「透気性」で決まります。
スギやヒノキのように“軽くて空気を含む木”は音をやさしく吸収し、
オークのように“重くて密な木”は音を力強く反射します。

つまり、どの木を選ぶかで「音の表情」が変わるんですね。



木の家の音は「静かすぎず、にぎやかすぎない」


木の家では、音が壁や天井でやさしく反射しながら、ほどよく吸収されます。
そのため、コンクリートや鉄骨の家のように反響が強すぎず、
逆に吸音材だけの空間のように“こもる”感じもしません。

つまり、木の家の音は“ちょうどいい”。
家族の会話が自然に弾み、生活音さえも心地よく感じられる空間。
それが、木が持つ自然の吸音性と、素材としてのバランスの良さなんです。

最近では、建築音響の分野でも「木質空間の音の質」を測る研究が進んでいます。
無垢材を壁や天井に取り入れることで、音の反射と吸収が自然に調和し、
人がリラックスできる音環境が生まれることが実証されつつあります。

木の家の魅力は、目に見える温もりだけじゃありません。
耳で感じるやさしさ、心がほっとする“音の質”も、これからの住まいづくりで大切にしたいですね。



参考文献

※1 Wood Science and Technology Journal, Vol. 50 No. 5(Hinoki Cypress の吸音係数 0.41–0.59)
※2 九州大学・木材工学研究(スギの透気性と吸音性の関係)
※3 Applied Sciences Journal (MDPI), Vol. 15 No. 9 (2025):オーク材の音響性能と遮音特性