森・木・材木 2025.11.05
「木の家は、火事に弱い」と思っていませんか?
実はそれ、半分だけ正しい話なんです。
確かに、薄い板や紙のような木材はすぐに燃えてしまいます。
でも、柱や梁のように厚みのある木材になると、話はまったく変わってきます。
木が火にさらされると、まず表面が黒く焦げて「炭化層」ができます。
この炭化層こそが、木の内部を守る天然の防火壁なんです。
表面が炭になることで酸素の供給が遮られ、
内部の温度上昇がゆっくりになります。
その結果、燃え尽きるまでの時間がとても長くなり、
場合によっては鉄よりもしぶとく耐えることもあります。
アメリカの建築研究機関「WoodWorks」の報告書によると、
厚みのある木材(マス・ティンバー構造)は火災時にも内部構造が長時間保持されたと記されています。
また、研究論文
“Review of the charring rates of different timber species”(2023年, ResearchGate)では、
木材の炭化速度はおよそ0.65mm/分とされています。
つまり、1時間燃え続けても炭化が進むのは約4cmほど。
内部までは簡単に燃え抜けないというわけです。
鉄骨やコンクリートの建物も強そうに見えますが、実は火に弱い一面があります。
鉄は約500℃になると強度が半分以下に落ち、
コンクリートは中の鉄筋が熱で膨張して“爆裂”を起こすことがあります。
一方、木はゆっくりと燃えながら倒壊まで時間を稼ぐことができる。
この「時間を稼げる」というのは、避難や消火活動の点でも大きな利点です。
無垢の柱や梁は、それ自体が火に耐える構造体です。
そこに石膏ボードや左官仕上げなどの不燃材を組み合わせれば、
現代の木造住宅は十分な耐火性能を持つことができます。
木の家は“やさしい”だけではなく、しなやかに耐える家でもある。
だからこそ、昔から日本の木造建築は愛され、今もなお、安心して暮らせる家なんですね。