木表と木裏
なんだか聞きなれない言葉ですが、意味は字のごとく、想像がつきそうですね。
木表は、
- 原木を板にした際、木目に年輪が原木の内側(芯側)面が現れている面
- つまり、木の成長年輪が外から見える側です。木目が美しく、艶があることが多い
木裏は、
- 一方、板を裏返して反対側から見た場合、外側の面が見える面
- 木裏は通常、年輪がはっきりと見えず、節が多い
柱材の場合は、- 柱材など中心に芯を持っている場合、すべての面が「木表」
木表と木裏の違いのポイントは、
収縮率の違い:
- 木表は木裏の約2倍の収縮率を持っています。つまり、湿度や温度の変化によって木表はより大きく収縮・膨張します。
- この収縮率の違いが重要で、特に建具(ドアや窓など)の施工に影響を与えます。例えば、敷居や鴨居に「木裏」を建具側にして施工すると、乾燥による反りが生じて建具の開閉が困難になる可能性があります。
木目のささくれ:
- 木裏は年輪がはがれやすいため、経年によって木目がささくれやすくなります。
- 特に素足が当たる部分(例:敷居)では、ささくれた木が足に刺さるリスクがあります。
節の違い:
- 木表は節が少なく、艶があります。一方、木裏は節が多いことがあります。
- 見た目を重視する箇所には「木表」を使用することをおすすめします。
施工時にはこれらの特性を考慮して、木材の表面と裏面を適切に使い分けています。
「木の性質を生かして建物を建てれば、建物は長く持つ」
寺院などを手がける宮大工さんたちにはこの言葉がいい伝えられてきました。
実際に法隆寺などを見ると南側に日表、南向きに生えていた木は南向きに使われているそうです。
大工さんたちの仕事は物を作り上げること、その中には木の性質を見極めることも含まれているわけです。
木表と木裏、身近な木工品を見てどう使われているか見てみて下さいね。